1.カブトムシやクワガタムシのブリード累代表記とは

累代(るいだい)とはカブトムシ(クワガタムシ)をブリードする場合、その血統(ブランド)とは別にどのような血筋(世代や累世)なのかを表すために使用される表記です。
※累代表記について厳格な統一性はないため、オーナーごとに表記ルールが異なる場合があります。本ページでは当店規格における「累代表記」を解説するものです。

2.累代表記について

WD:ワイルド・ディライブド(Wild Derived)の略で「野生由来」の個体ことです。


WF:ワイルド・フィリアル・ジェネレーション(Wild Filial generation)の略で、WD個体を掛け合わせた個体のことです。


CBF:キャプティブ・ブリード・フィリアル・ジェネレーション(Captive Breed Filial generation)の略で、同じ産地ではあるが、別血統の個体同士を掛け合わせた個体のことです。


累代表記

解説

WD

野外採集の天然個体のことです。

WF

・WD同士を掛け合わせてブリードした個体になります。なお、自然界ではWD個体同士の交尾済が多いため、ブリードする場合には注意が必要です(すでにメスが他のオスと交尾済の可能性あり)。

表記例(WD×WD=WF1)

F

・同じ血統同士をブリードさせた個体です。「数字部分」は代を重ねるごとに増えていきます(この時、天然ではないため「W」は消えます)。

表記例(WF1×WF1=F2、F1×F1=F2)

・世代の異なる個体同士をブリードさせた場合、世代の進んでいる方を優先して数字を1つ足してあげます。

表記例(F4×F5=F6、F7×F8=F9)

CBF

・同産地で別血統のブリード個体です。これは異なる血統同士を掛け合わせることによって「新たな血統」を作り出すことになります。

表記例①(A血統F1×B血統F1=CBF1(Cという新たな血統の第一世代)

表記例②(C血統CBF1×D血統CBF3=CBF1(E血統という新たな血統の第一世代)

CB

CBにおけるブリードで累代不明の場合、統一表記として「CB」もしくは「累代不明」という表記を用います。

3.累代表記の注意点と劣性遺伝の改善策

累代における同血統同士のブリードは、同じ血筋の血が濃くなることでその血統が持つ特徴を強く受け継ぎます。これは、ブリーダーが求める血統の「正」の部分を強く反映させるには必要なことです。


例として大型血統をブリードさせると大型個体の出現率があがったり、メテオ系だと極短極太の胸角の出現率があがったりなどです。


ただし、その反面としては遺伝子的に「負」の因子も強くなってしまい、例として羽化不全や寿命の短命などが代表例としてあげられます。


そのため、ブリーダーの人たちは時々計画的に、適度に「血の入れ替えCB(Captive Breed)」を行うことで、劣性遺伝を極力抑えて、欲しい「正」の要素を上手く引き出す方法(管理下繁殖)をとります。

4.ブリードで用いる用語や表記について

カブトムシ(クワガタムシ)のブリードでは、交配方法や血筋同士の組み合わせによって、多くの用語や表記を用いることがしばしばあります。ここでは当店規格における、用語や表記の解説をしていきます。


インラインブリード(IB)

同じ血統内(インライン)同士をブリードする場合に用いられます。親の同腹の子供同士や親と子での近親交配のことです。

表記例(F1、F2・・・)


アウトラインブリード(OB)

異なる血統外(アウトライン)同士をブリードする場合に用いられます。雌雄ともに親族関係にない完全に別血統の個体同士による掛け合わせになります。

表記例(CBF1、CBF2・・・)


キャプティブブリード(CB)

管理飼育下における同産地かつ別血統の個体同士をブリードする場合に用いられます。CB表記は、インラインブリード個体とワイルド個体以外のすべての累代飼育が当てはまります。祖父母などが同じ個体であっても、親が異なればCBという表記を用いることになります。

表記例(CBF1、CBF2・・・)


ハイブリッドブリード(HB)

同種別産地の個体同士をブリードする場合に用いられます。北海道産カブトムシと江田島産カブトムシを交配させた場合などがあげれます。そのため、両親の産地表記はとても重要になります。HB個体を累代し続ける場合、表記は「数字」を増やしていきます。

表記例(HB1、HB2・・・)


クロスブリード

  • 同一血統から枝分かれした子孫(2つの血筋)の雌雄を交差(クロス)交配(ブリード)する累代飼育を表しています。
  • 完全別種同士の掛け合わせによる交差交配を表してします。ヘラクレスとグラントシロカブトの交配や、オオクワガタとコクワガタによる交配があります。
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